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ブランコがオレンジ色に染まっている。
楽しそうに揺れている影が、オレンジ色の土に映る。
ブランコを揺らしているのは、無邪気に笑う小さな少女。
彼女もまた、オレンジ色に染まっていた。
僕はその光景をベンチに座りながら眺めている。
少女がいる場所までの距離は、僕のいる場所から少し遠い。
彼女の匂いが届かなければ、彼女の表情だってよく見えない。
それは彼女も同じで、僕の匂いが届かなければ、僕の表情だってよく見えてないだろう。
そんなことを思いながら、僕は鉛筆を右手に持ち、スケッチブックに彼女を書きうつす。
彼女の姿は、ここから良く見えないが、僕の頭の中にはちゃんと無邪気に笑う彼女の表情が入っている。
その映像をもとに、彼女と一緒に映る景色も描き、ようやく彼女の鮮明な姿が僕の目に映るのだ。
気持ち悪いことだが、ここに来るといつも、楽しそうにブランコに乗っているあの小さな少女に、胸をときめきさせながらこの行為をしている。
そう、僕はあの少女に恋こがれ、気持ち悪いほど見つめ続け、みじめなくらい愛してしまっているのだ。
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