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僕があの小さな少女に恋をしたのは、約2ヶ月前。
少し蒸し暑い7月の夕暮れの日のことだった。
そのとき、僕はいつものようにベンチに座りながら、とりとめもない風景を、少しだけオレンジ色に染まった画用紙に書きうつしていた。
ちょうど今、彼女の乗っているブランコを描いていたときだった。
『ねぇ、お兄さん、何してるの?』
ふいに聞こえたきた幼い声に、そのときの僕は振り返った。
そして、その瞬間に僕は今までになかった感情を抱くことになる。
オレンジ色に染まった白いであろう肌、柔らかな色をした茶色い髪、くりっとした大きな瞳。
そして、力いっぱい抱きしめてしまったら折れてしまいそうな華奢な体。
その映像は僕の頭の中をいっきに駆け抜け、今にいたるまで一度たりとも薄れていくことはなかった。
『え?ああ、ブランコを描いてるんだ。』
内心焦りつつも、そう答えたそのときの僕は、どんな顔をしていただろうか?
至福に満ちた顔だったのか、それともキョドりまくった情けない顔だったのか、まぁ、どちらにせよかっこいい顔でなかったことは違いない。
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