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「ややこしいわね……面倒させるね」 いつの間にか復活した山口がダルそうに呟く。 そして、寺田にとってはミリアの話しが嘘でも何でも良かった。 魔法使いは本当にいたと言うよりは、やはりいたと言う気持ちが強く出たからなのかもしれない。 「よし、じゃあ俺が……」 寺田は胸の緊張を高め、紙を受けとる。 「そこに……名前を書いてくれるだけで……」 寺田は自分の名前を書くだけなのに見た事もないような難しい字を初めて書くようにゆっくりと一画一画、丁寧に書き入れた。 「あ、ありがとうございます……これは私かあなたが契約を破棄するか死んでしまわない限り、契約は続きます」 ミリアは契約の紙を受け取り、自分のポケットにしまう。 「死んでしまうって……急に物騒な、あ!それよりもう魔法使えるんでしょ?何か見せてよ!」 期待に胸を膨らます様に山口が言う。
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