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「しょうがないな~幼なじみのよしみだぞ」 周りが寺田を見て笑う人がでる中、山口はお構い無しに鞄から何かを取りだし渡す。 「ビニール袋……被れと?」 寺田はコンビニとかで貰うような寺田の手位しか入らない小さいビニール袋を貰う。 中にはまだおにぎりの袋とかのゴミが入っていた。 「中のゴミは捨てといてね~」 山口はそれだけ言うと傘を指して帰って行ってしまった。 「貴様!待てこの野郎!」 寺田が叫んでももう山口は見えなくなっていた。 「こうなりゃ、覚悟を決めますか……」 もう既に誰もいなくなっている寺田のいる昇降口にて、教科書を全て自分の下駄箱に押し込む。 ついでにビニール袋は山口の下駄箱にねじ込んだ。 軽くなった鞄を脇に抱え、マラソンのクラウチングスタートの構えを取る。 「よぉい……ドン!」 掛け声と共に勢い良く走りだす。
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