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もとはと言えば川でなんで女の子が一人倒れていたのか、寺田は今になって疑問に感じてきた。 父親の心を打ち負かした息子は少女を寝かせてある自分の部屋に戻る。 「…………」 寺田は机に座りその後ろで布団にくるまっている少女はまだ起きない。 「はぁ…………」 疲れた様に窓を見ながらため息を吐く。 外はもう雨は止み、星が綺麗に光っている夜空だ。 「おっす、寺田!なにしょげてんだ?」 窓から山口が話しかけてきた。 寺田と山口の家は隣であり互いの部屋がちょうど向かい側にある。 寺田にとっては迷惑この上なかった。 「ほら…学校では悪かったからさ、そうくよくよするな」 山口が屋根に飛び乗りこっちの部屋に入ろうとしてきた。 いま、部屋を見られたら間違いなく誤解される。 そう感じ、急いで窓に鍵をかけた。
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