地獄のようなこの世の中で

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 俺が腕の中に顔をうめてからすぐ、一人の男子の声が聞こえたと同時に、机ごと俺は吹っ飛ばされた。  痛みに顔を歪めながら見上げると、そこには三人の男子が、苛立った眼で俺を睨みつけていた。  何なんだよ。俺が何したってんだ。 「お前、なにすかしてんの?」  三人組みの真ん中にいる、背が高い茶髪の男子が俺に向って冷たく言葉を放つ。  あぁ、そう言うこと。俺がこのくだらないイタズラにあまりにも無反応だったから、ムカついて俺を蹴り飛ばしたってわけか。ちょっとまずいな。 「いや……そんなつもりは……」  俺が全て言い終わる前に、茶髪の男子は俺の胸倉を掴み、次は先ほどよりも少し強い口調で罵声を浴びせる。 「ってかさ。もうお前マジ学校くんなよ。見てるだけでイライラすんだよね」  どうする。何て言えばこの場を切り抜けられる? 俺は頭の細胞をフル動員して思考をめぐらす。    しかし、なかなか良いアイディアが浮かばない。  そんな黙りこくっている俺を見て、茶髪の男は胸倉を掴む力を一層強くした。 「シカトぶっこいてんじゃねぇぞコラ!」  やばい。とりあえず何かしら言わないとやられる。 「前から思ってたんだけどさぁ、お前なにげいい腕時計つけてんなぁ」
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