地獄のようなこの世の中で

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 気が付くと俺は屋上にいた。フェンスを乗り越え、へりに立つ。両手の平に乗せた無残な腕時計を眺めていた。  心地よい風が俺を包む。  ねぇ、父さん、母さん。もういいよね? 俺、がんばったよね? 流石に限界だよ……  俺は壊れてしまった腕時計を抱え、振りかえる。そしてゆっくりと体重を後に向け、空へと身を投げた。  その時、屋上の扉からすごい形相で走ってきた一人の男子生徒が見えた。そいつと眼が合う。 「智久君!!」  遠くの方から俺を呼ぶ声がした。  今更おせぇよ……
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