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俺はその場に崩れ落ちてしまった。無理もないだろ。今さっき正に地獄のようだった日常からおさらば出来たと思ったのに、結局は地獄行き。
やってらんねぇよまったく。
そんな俺に向って、閻魔は問いかける。
「君は本当に死んで良かったと思っているか?」
「は? 何を言って―――」
「質問に答えてくれ」
今までとは違い、静かに、しかし凛とした口調で俺に問いただす。
「地獄行きがなかったら最高によかったと思うね。心残りと言えば俺が死んで大喜びするやつばっかりだってことかな。まぁもうそいつらとも二度と顔を合わせることはないから、もういいけどね」
皮肉をこめて吐いた俺の言葉に、閻魔は「そうか」と一言呟き、俺に背を向けた。そして、両手を前に突き出すと、地面から巨大な円形の鏡が姿を現した。直径二メートルはあるんじゃないか?
にしても、どっから出したんだその鏡は。これが魔法ってやつか?
俺があっけにとられていると、こちらを向いた閻魔が俺に言った。
「これを見てくれ」
俺はゆっくりと巨大な鏡の前に体を移す。
するとそこには、なにやら見慣れた映像が映し出されていた。
俺がもっとも憎んだ場所。この世で一番嫌いな場所。
ここは……学校だ。
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