地獄のようなこの世の中で

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 見慣れた教室で、教壇に立つスーツ姿の先生。クラスの生徒に向って、俺の自殺について淡々と説明している。  生徒は、それをただ黙って聞いてる。 「おい。こんなもん俺に見せて、いったいどうするつもりなんだよ」 「いいから黙ってみていろ」  閻魔は俺を見ずに、短くそう言った。  意味わかんねぇ。  俺はしぶしぶ鏡をみつめる。  鏡に映る生徒たちの表情は、まるで夏休を次の日に控えた終業式での、校長先生の長話を聞いている時のそれと似ていた。    まさかここまで無神経だとは。ある程度想像はしていたけど、ここまでくると流石に呆れてくるな。  まぁそれも仕方のないことか。俺が死んで悲しむ奴なんてこのクラスにはいやしない。いや、この学校を、世界中を探したって誰ひとりいないだろう。  と思っていたのだが、教室の真ん中の席に一人、小さい体を小刻みに震わせ、声を押し殺し大粒の涙をボロボロと流しているやつがいた。 「……梅宮」  なんで? 何で泣いてんの?   先生が教室から出た後も、梅宮は一人泣いていた。 「ってかマジ自殺とかありえなくねぇ? 超だるいんですけど」 「でもまぁアレじゃね? 死んでよかったんじゃねぇの?」 「たしかにな。アイツ生きてても面白いことなんかなさそうだし」 「それ言えてる」  教室の後ろ側で、不謹慎な罵声が飛び交う。数名の生徒が集まって、笑いながら話をしている。その中には、俺を死に追いやったグループも混ざっていた。
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