後継者

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空に太陽が昇り始める。 暗闇から徐々に城がその姿を現しだすと、町の人々は起きだし、町は活気あふれる声でいっぱいになる。それがこの町の日常のハズだった…。しかし、今日は少し様子が違うようだ。皆、外に出るとすぐに、城を見あげた。そして、誰かと顔を合わすとまず挨拶ではなく、この国の王子の話題になった。今日は太陽がいつになく、強く眩しく輝いている。 窓から入り込んでくる光で彼はようやく目を開ける事にした。昨日から一睡もしていない彼の目はウサギのように赤くなってる。彼は腰をあげ、一つため息をつくと手で頭を抱え首を振った。そして、ベットの横にある水で顔を洗いタオルで顔の水気を全て拭きとるとベットからおりる。少しだけ足がふらついてしまう。服に着替えるためにクローゼットまでその足で進み扉を開けた。その中には、まさに豪華絢爛という感じで服が綺麗に並んでいたが彼はあえて一番その中でも地味な方の服を選び着替えを終えた。そしてふと思い出す。昔は服を着るのに一苦労だったの事を… 『人は死ぬ瞬間に昔の事を思い出すっていうけど俺の場合は相当だな』
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