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ブランはあざけ笑うかのような口調で言い、ノワールは優しくも哀しげにもとれる口調で言った。
「全ては主ナルシスの名を持つ者のため…。」
彼はどこにいるかもわからぬ相手にりりしい姿勢をとって見せた。
「よかろう。契約の言葉は交された」
暫しの沈黙の後に2つの声が同時に聞こえた。
彼はまたニヒルに口を歪ませる。
しかし、彼らの言葉はそれだけで終わりではなかった
「汝がその言葉に背く時、それは我らへの裏切り。」
「我らへの裏切りは極刑に値す」
「その命」
「その魂で償うがいい」
そう言った彼らの声は今までより遥かに力強かった。
そしてその言葉は彼の脳に直接響き、まるでエコーがかかったかのように、頭の中を同じ言葉が繰り返えされる。
頭を振りかき消そうとしてもその言葉は鳴り響く。
「お前らに差し出す命なんかない。もしそんな時がきたならば…。俺は己で自分の首を斬るだけだ…」
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