プロローグ

3/9

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/89ページ
ブランはあざけ笑うかのような口調で言い、ノワールは優しくも哀しげにもとれる口調で言った。 「全ては主ナルシスの名を持つ者のため…。」 彼はどこにいるかもわからぬ相手にりりしい姿勢をとって見せた。 「よかろう。契約の言葉は交された」 暫しの沈黙の後に2つの声が同時に聞こえた。 彼はまたニヒルに口を歪ませる。 しかし、彼らの言葉はそれだけで終わりではなかった 「汝がその言葉に背く時、それは我らへの裏切り。」 「我らへの裏切りは極刑に値す」 「その命」 「その魂で償うがいい」 そう言った彼らの声は今までより遥かに力強かった。 そしてその言葉は彼の脳に直接響き、まるでエコーがかかったかのように、頭の中を同じ言葉が繰り返えされる。 頭を振りかき消そうとしてもその言葉は鳴り響く。 「お前らに差し出す命なんかない。もしそんな時がきたならば…。俺は己で自分の首を斬るだけだ…」
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加