第一章

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  おかしいと思われるのが嫌で、あんな最低な男のために泣いてる自分に腹が起って、必死になって涙を止めようと息を止めてみても、悲しいかな全然止まってくれない。 むしろ増すばかりだ。 このままじゃ永遠に泣き続けてるんじゃないかって、何処かで冷静に思う自分がいる。 やみくもに歩きながらどれほど遠くまで来ていたのだろう。 気づいたら、私は行き着けのカフェの一番隅の席で、テーブルに付いた手で顔を覆って泣いていた。 「つっ…ふぅ…。」 と、どうしても漏れる嗚咽を抑えられずに、ただそこでそうしているだけだった私に、その人はぶっきらぼうに話し掛けてきた。  
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