第一章

4/14

43人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
  「いい加減に泣くの止めてくれない?他のお客様に迷惑なんだけど。」 そう言われた瞬間、私の涙は一瞬にして止まった。 それは言葉のせいでもあるだろうけど、その声に私の体が自然と反応したのだ。 低い感情の篭っていない声なのに、私の中にはやけにすんなりと入ってくる。 誰が言っているのかな? ゆっくりと顔を上げてみると、そこには正に絶世の美男子と言っても過言で無い人が、お盆片手に不機嫌そうに立っていた。 すらりと高い身長に、整った顔立ち。その漆黒の瞳には、醸し出す雰囲気とは真逆な強い意思が見てとれる。 アッシュグレーの短髪は、柔らかそうで思わず触りたくなる程だった。  
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

43人が本棚に入れています
本棚に追加