第一章

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  水滴で濡れた頬を押さえてまた凝視してしまう私に、その人はアイスココアの入ったグラスをテーブルに置いた。 「え?私注文してないんですけど。」 というか、ここに来てから貴方に誤った以外で何も話してないんだけど。 もしかして注文もしないで座るなってこと!? 焦りながら言う私に、その人はまた眉を寄せた。 仮にもこっちはお客なんですけど!お客様は神様なのにそんな不機嫌そうに睨まないでほしい。 怯みながらだんだん目線を下に落としていく私に、その人はぶっきらぼうに言った。 「知ってる。」 はぁ? あれだけ眉を寄せて不機嫌オーラ出してたのに、『知ってる』の一言って…。 「や、だからこれは私のじゃなくて他の人のものかと思うんですが。」 なんだか飽きれながら言う私に、その人はまた眉を寄せてくる。  
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