21人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
もう人も居ない浜辺で……この日も波打ち際を一人歩いていた
過ぎ去りし日の夏を詠んで居たのか…
打ち寄せる波の音に懐かしさを覚えていた
恋に破れたあの日の事
心の傷はまだ癒えない
ただもうあの記憶から逃げないで乗り越えようと昨日の丹羽と佐々木の言葉に、誓ったのだ…
そんな時で有った…
砂浜の砂に雫模様が描かれ始め、ふと見上げると大粒の水滴がパラパラと落ちて来た…
『雨か?』
勇樹がそう気付いた時には落ちて来る雫のペースと量が一気に増えて行き一気に土砂降りのスコールと変わった
『やべっ!』
ずぶ濡れになりながらも直ぐさま引き返す様に勇樹はその場を走りだし家へ向かう……
『・・・・・・!?』
雨から逃げる様に無心で走り《ザーザー》と降る雨の音が頭に響き渡って居る時だった…
『・・・・・・・!?』
ギターのメロディが微かに勇樹の脳裏に響いた
(まさか!?)
そうは想いながら勇樹は、そのギターの聞こえる方向へ足を向けて走りだした
最初のコメントを投稿しよう!