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すると、そこへ水を差すように
「骸さん、持ってきたびょん!!」
と、救急箱を持った犬がバンッと扉を開けて入ってきた。
僕は小さく溜め息を吐いて立ち上がる。
犬から箱を受け取ると、再び鈴の元へ歩み、手当ての準備をしながら話した。
「あの子は犬といって、僕と住んでいる者の一人です。」
鈴が犬の方へ視線を向けると、犬は“ふんっ”と言ってそっぽを向いた。
犬の態度に対して明らかに落ち込んでいる鈴を見て、僕の胸には再び微弱だが怒りが募る。
それをなんとか抑えると苦笑して
「すみません。なかなか人見知りをする子でしてね…」
「あ、いえ…気にしてませんから…っ、う」
鈴は弱々しく笑んで僕の言葉を否定する。
しかしすぐに傷の痛みに顔を歪めた。
僕は急いで準備を終えると鈴に服を脱ぐように指示した。
「――!!?///」
すると彼女は頬を染め、目を見開いた。
そしてその目は再び不安の色を帯びていた。
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