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骸said
「――?」
「……骸しゃん?ろーしたんれすか」
今聞こえたのは……悲鳴?
犬には聞こえなかったのだろうか。
だが、僅かだが聞こえたその声は確かに女性の悲鳴。
「……少し外を見てきます。」
こんな人気のない場所だから、悲鳴など日常茶飯事のこと。
しかし……何故だか今はその声に魅きつけられ、気になって仕方がない。
僕は念のため武器を手にとり声の聞こえてきた方へと駆けた。
「――!!」
駆け付けた場所には案の定、傷だらけの汚い娘が倒れていた。
その娘に近付くと、僕は無意識のうちに生存確認をしている。
そして、生きていると分かればほっとした。
そこではっと我に返る。
自分は何故……
こんな子供に……
「骸しゃーん!!」
「ッ!!」
些細な疑問も、二人の走ってくる音に掻き消され胸の奥へ消えた。
何も覚えていないほど、奥の奥に。
「何があったんですか?」
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