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二人とも(犬は嫌そうだったが)部屋から出ていくと、僕は改めて彼女の顔をまじまじと見る。
漆黒の髪は乱れているが細くさらさらと指に心地いい。
顔立ちも大人っぽく、高校生くらいに見える。
伏せられている瞳も、薄く開いた唇も、なにもかもが美しい。
そしてそれだけに、身体中にある傷が憎かった。
何者なのか…
ふと浮かんだその考えはぐるぐると頭の中を駆け巡る。
こんな得体の知れぬ娘を何故家へ入れたのか――
看病なんてせずにあのまま放置しておけば、じきに野犬が喰ってくれただろうに――
もしも憎きマフィアの仲間だとしたらどうするのだ――
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