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「並木さん……俺、病院には行かないよ。雅に俺のことは見えないだろうし、行ったって意味ないと思うから」
行かない本当の理由は違う。見えないから雅に話しかけても無視される。それが辛いんだ。
「そう……。でも、このままずっと時だけが過ぎていくのは辛いよ?」
それは分かってる。雅だけじゃなく、かつての同級生はみんな成長してくのに、俺はこのまま……。
「俺、どうしたら成仏できるのかな……?」
「え?」
やばっ!思ったことをそのまま口に出してたみたいだ。ほら、並木さんだって困った顔してる。そりゃそうか。いきなりこんなこと訊かれたって、な……。
「うーん……そうだ!あたし、よく当たる占い師さん知ってるんだ」
……えーっと……だから……?
「その顔……反応に困ってる顔だ!……やっぱり生きてても死んでても、岡君は岡君なんだよね」
あ、なんか嬉しい。死んでから、俺って何なんだろって……一体誰なんだろって、思ってたから。
「あのね、その占い師さんに話を聞いてもらえば何か分かるかもしれないよ」
ああ、そういうことか。
「あ、納得した顔だねそれは」
あんま話したことなかったけど、並木さんって俺のことよく知ってんだな。
「よし、じゃあ善は急げだよ!早速行こう!」
「え?並木さん、学校は?」
「いいよ。今日はさぼる。だって、せっかく岡君と一緒にいられるんだから……」
声が小さくなって、後半が聞こえなかったけど、何故だか並木さんは顔を赤くしていた。
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