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幸か不幸か、まだ幼かった《彼等》には、一生を生きるには充分すぎる遺産だけが残った。
そして、《彼等》はいつしか両親と同じ宇宙への夢を志す様になっていた。
共に支えあい、励みあいながら生きていけると思っていた。
彼は兄をとても慕って、よく付いてまわったものだった。
あの《別れ》が訪れるまでは。
それ以来、彼にとっては同じ日々の繰り返しにすぎなかった。
毎日、
明日がやってくる。
それは、
独りきりの、
同じ朝。
同じ毎日から切り取られた内の、
ただの1日
だった。
心を置き去りにして、
身体だけが無意味に成長していくように感じられた。
ガタガタッ
さて、朝から、走るか。
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