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突然駆けたその時に、元花ばな達がいたところを踏みつけていったことにも、少女は気が付いてはいないようだった。
無惨にも地面に押し付けられた花ばなは、しん、と静まりかえり、その鮮やかな花びらを散らしてひれ伏してしまった。
それほどに激しい衝動が彼女を動かしていた。
野を
森を
駆ける
駆ける
さぁ 会いに行かなくちゃ
誰に?
はやく、早く、速く
何処へ??
……………
何処までだって
どうやって?
…この
命に変えても
誰に?
あなたに
白いドレスの裾をはためかせて、少女の姿はやがて見えなくなった。
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