同じ迷路に這わされているのは不愉快

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やがてうっすらと開いた瞳は、髪と同じく漆黒。しかし、こちらは陽を受けてやや薄紫に底光りする、儚い色彩。 幼さが微かに残る、無邪気な瞳。それは徐々に覚醒する意識と共に冷たい漆黒へ氷ついていった。 はっと少年が現実に気付くと、もう時計は九時を回っていた。 …遅刻。クソッ 前髪を掻き揚げ、いかにも不機嫌そうにくしゃっと握る。 皆勤を狙うなんてのは、馬鹿げているが、意外といろいろに有益に働くコトは知っていた。 朝だというのに、静まりかえったこの場所に、今やっと物音が響き始める。 広い1LDKに彼は独りだった。 彼の両親は既に亡く、兄も数年前に行方不明になったきりだった。 その世界では誰でも、名前くらいは聞いたことがあるだろうと言われていた両親は、宇宙スティションの東京支部に勤める高官だった。 常に命の危険と隣合わせの任務な上に、二人とも情に厚く面倒見が良かったという。その為に、指令自ら部下と宇宙(ソラ)へ旅立つこともしばしばだった。 そんな折りに起こった事故だった。 .
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