やっと動き出す。

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「登録制恋人専門人材派遣会社??何ですか、これ??」 私に手渡されたのは新聞の織り込みにでも入っていそうな一枚の広告。 如何にも怪しげなその広告を両手に持ちながら、私は華恵の顔を見つめた。 「見ての通り。奈々ってば淳以外の人てんで受け付けないみたいだからさ、だったらこれで淳そっくりな人探したらどうかと思って」 私は再びその紙切れを見つめた。 まじまじと目を通していると、華恵は言った。 「実はね、あたしそれに登録してるんだ。探す方じゃなく派遣される方って訳。で、今付き合ってる彼はそこで知り合ったの」 華恵の彼は会った事がある。 至って普通のサラリーマンで、歳は二つ上だったか。 しかし華恵がそんな怪しげな物に手を出していたとは知らなかった。 「怖くないんですかね?」 私の質問に華恵は笑いながら答えた。 「まさか!合法よ?たぶん今これ知らない人いないんじゃないかなぁ。周りの人に聞いてみたら?きっと大半が登録者だから」 まさか。 確かに自分は世間の情報には疎いとは思っていたけれど。 それでも不信そうにしている私に華恵はダメ押しするかの様に言った。 「どうしても淳じゃなきゃ駄目かもしれないけど、探してみたら?騙されたと思って…淳にそっくりな人」 私は華恵の言葉に、手にした紙をぎゅっと握った。
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