やっと動き出す。

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仕事中、私は華恵の話を回想した。 『こんな怪しい事…いつからやってたんですか?』 『二年くらい前かなぁ、新聞の広告に入ってたの。奈々はこういうの嫌いだから、内緒にしてたんだけどね。ま、緊急事態って事で…』 『緊急事態…?』 『そうよ、この状況が緊急事態じゃなくて何? この間の彼、可哀想で見てらんなかったわ。"思ってたのと違ったんです"? いくら外見が淳に似てたって中身が一緒だと思ったら大間違いなの!! 誰と付き合っても一週間も続かないなんて…』 ぽかんとした頭で開きっぱなしのパソコンの画面に目を向けると、全く関係無い画面が開かれていた。 あ~あ、ちゃんと仕事しなきゃ。 マウスをクリックしようとした時、後ろから声を掛けられてビクっとする。 「奈々ちゃん、今日の資料あがってる?」 「あっ…はっはいっ」 私は慌ててバックから資料を取り出すと、先輩秘書に差し出した。 「ありがと!」 彼女はそれを受け取るとパラパラと中身を確認した。 数秒後、掛けられた言葉に私は肩を落とした。 「あ~あぁ。奈々ちゃんまたやったな。折角資料は完璧なのに、閉じる時に何枚か逆さまなのよね」 慌てて横から覗き込むと、正しくその通り。 「ごっごめんなさいっ…」 「いいのよ、いつも良くやってくれてるから」 いつも先輩は、妹のお守りでもするかの様に私を可愛がって世話を妬いてくれる。 そんな先輩の笑顔に感謝した。
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