今と思い出を行き来する。

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「奈々、誰か紹介しよっか?失恋には新しい恋だよ、うん」 そう言って隣で頷くのは高校時代からの親友の華恵。 私は暖かい紅茶の注がれたカップを両手で包み込む様にして手を添える。 白いカップには赤みがかった紅茶が良く栄える。 「…うん。分かってるんですけどね…きっとまた繰り返すのは目に見えてるから」 私の返事に彼女はため息をついた。 「はぁ…。いい?淳と全くおんなじ人間なんていないの!いつまでも引きずってたらおばーちゃんになっちゃうよ?」 「最近それでもいいかなぁ…と思うんです。私きっともう一生恋なんかしないと思うから…」 そう言うと華恵はがっくりと肩を落とした。 たまの休みに友人とお茶をして成される会話の殆どはこんな感じで、時々幸せそうな話しを聞かされると嬉しい反面、ちょっとだけ疎外感を感じる。 幸せになりたくないなんて事はない。 だけど、誰と付き合った所で私はまた繰り返してしまう。 彼を重ねては彼ではない事を目の当たりにしてやりきれない思いになる。 そうするともうその人とは一緒にはいられなくなる。 少しでも彼の面影がある分、彼ではない事が酷く悲しくなるから。
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