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寝起き特有のダルさのなか小さく頷く。
よかったわ。
彼女は笑うと、ベッドの脇に備え付けられているテーブルに薬と水ののった盆をおいた。
と、
テーブルに山と積み上げられていた見舞いの品に腕が当たり、盛大ななだれを起こした。
僕は遠い目をした。
またか。
きゃあと悲鳴をあげるおばさん。
真っ赤なリンゴが僕のベッドの下をころころと転がっていく。
追いかけようと踏み出した足は確実にバナナをとらえた。
ぐしゃ。
スローモーション映像のようにおばさんは軽く宙を舞った。
・・・・・そそっかしい。
ほぼ毎朝ものの数十秒でこの惨劇を作りだす彼女はやはり人類、いや霊長類ですらないのかもしれない。
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