朝です

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白く冷たい床にへばり付く憐れなバナナ(某女医曰くアンジェリーナ)を常備品のビニール袋に放り込む。飛び散る残骸もウエットティッシュで拭いともに密封。 ・・・・・我ながら見事な手際だ。よわい十歳にしてこのようなことに慣れきっている自分はどうかと思うが。 もと通りに片付いた室内をぐるりと見渡し、最後にもっとも厄介な処理物をみつめた。ぱちりと合った視線。 「・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・ ・・・・」 無言の攻防の末、僕は溜息つき手を差しのべた。 おばさんはその手をつかみ立ち上がると、にこにこと笑い寝ぐせのついた頭を撫でてきた。 「いい子ねぇ」
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