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子供扱いされてこれほどムカつく人もいないだろう。そもそも僕に後片付けや床を這わせるなんて彼女以外させない。
でも、いやじゃないのだ。
以前では考えられない自分の行動に思わず赤くなる頬を見られたくなくて、僕はうつむいた。
そんな僕の様子にはお構いなしに、彼女はぐしゃぐしゃと豪快に髪を撫であげる。
・・・・・首がとれそうです。
「さぁ、診察しなきゃ」
あたたかい手が離れていくのを惜しく感じながら、僕は彼女に促されるままベッドに戻った。
横になった僕のそばにパイプ椅子をおき、腰を下ろした。
いつもの質問にいつものように答える僕の口から、音が出ることはない。
原因不明の失声。
僕の喉は半年ほど前から声を失っていた。
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