すれ違う。

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体育館の中でわんわん響く声と音。 耳が痛い………。 別にひねくれているわけでも何でもない 本当に痛いのだ! 人混みが苦手なのも、過敏に聞き取る音に耳鳴りがするわ、頭が痛くなるわ。 体育だって、できるものならしたい。 だけど、ちょっと走れば、息が上がって胸が信じられないくらい苦しく締め付けられて……。 昔っからよく失神しては先生とかに担ぎ上げられてた。 …で、ついたあだ名が“お姫様”だ。 うんざりしながら、竜矢は周りをみる。 あ………。 入学式初日に睨んできた奴だ。背の高さや風貌から一気に有名になってその性格から今じゃ、クラスの中心だ。 絶対、縁がない人物 だけど、話もしたことがないこのクラスメイトが時々、羨ましくなる。 自由に走れていいな なんか、好き勝手してていいな オレも走りたい。 噂で一人暮らしをしていると聞いたが、親元から離れてるのかなんなのか。 何にしろ羨ましい。 竜矢が考えをやめて、もう一度みたとき、なにやら、相手は窓ガラスをじっとみている。 ……ナルシスト…? 意外に思ったそのとき、何故か、本当に何故か、 相手の目の色が赤くみえた。 ーーーー?! もう一回見たかったが相手がこっちをみた気がして慌てて目を逸らした。 光の関係…か…? だって、オレは相手の顔見たことあるんだから。至って、普通の黒だったし。 ……やだな。オレひがんでんのかな。 違うチームを見ながら、竜矢はさっきのことは見間違いだと思おうとする。 だって、もしも、オレがみたのが正しいとしたら……… 色素異常の問題じゃない。 ガラスに映ったら目が赤いとか化け物だ。…おばけとか。 有り得ない。 《化け物》 この世にそんなものいるわけない。 オレみたいな、有り得る化け物はいたとしても
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