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授業終了のチャイムが鳴る。
それぞれが、出口へと騒がしく向かう。
零時も、タオルを肩にかけながら歩き出した。
ふと見ると、出口より少し離れた壁際であのクラスメイトが立っていた。
みんなが出るまでやり過ごすのかな
なんとなく、見ながら零時は出口へ向かう。
そのうち、今まで出口の人混みを見ていた彼が、視線を零時へと向けた。
限りなく、透明に近いような青い瞳が零時をみる。
……ドク…ン。
あの桜並木で感じた衝動が再び零時を襲う。
やべっ……。
慌てて視線を逸らして零時は少し足を速めた。
そして、彼が立っている壁の前を通り過ぎる。
近くにいないのに、すぐ側にいるような、相手の体温を感じてしまうような錯覚を起こして零時はたまらず走り出した。
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