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動きだす。
……全てがもしも。
作られたものだとしたら
どうするかな
「……まだ……続くのか……」
『せーんぱい!神月先輩って!』
「…美堂。」
『あ゛!いきなり溜め息つくことないじゃね?!部活にお供しよーかと思ったのに』
淡い茶色の髪をかきあげて神月と呼ばれた男はギャーギャーと煩い後輩を軽く見上げた。
神月も178㎝あるがこの後輩の背の高さには呆れる。
だから、運動部からのスカウトが絶えないが何を考えたのか自分のいる美術部に毎日のように遊びにくる。
最近は青い銀髪の生徒も一緒が多いが。
軽く綺麗な眉を寄せて神月はまた溜め息をついた。
この脳天気な男はまだ何も気づかないのか
あれも
……仕方ないか
『なあ!またあの子画くんすか?』
神月は不機嫌な顔を美堂零時に向けた。
いらんことをとでもいいたげな顔だ。
だがそんなことはお構いなしに零時は笑う。
『いや、先輩どれも上手いんだけど。あの子描いてるのが一番上手いから』
神月の思考の片隅を長い髪の少女がよぎる。
気紛れで描き始めたというのにな
「…知らん。……お前、連れは?」
『ああ、なんか今日は用事があるみたいで先帰ったわ。ま、また一緒きますよ』
磊落に笑う零時を横目でみながら神月は美術室のドアを開けた
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