重なる。

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重なる。

 「あ…」 お互いの空気が固まる。 俺がふざけて投げた消しゴムは、見事にあの、天神竜矢くんの前へ。 ジーーーザスッ‼ ただでさえ ただでさえ、めちゃくちゃ意識してしまってて、今まで女にしか興味なかったのになんでかと悩み!おつむの病院にいくべきか、それとも警察にいくべきか 悩みに悩んでる俺になんて仕打ち‼ そうこうしているうちに、天神竜矢はその手を伸ばして、消しゴムをとる。 顔をあげたかと思えば、あの目が俺を見つめる。 ーー恥ずかしいっ! たった今この世から消えてなくなりたいと思ったとき、彼がスタスタと俺の前にくる。 「……はい」 ドキンッ!やばいっやばいやばい! 俺のほうが背高いから仕方ないんだけど、上目使いになるのが可愛い!! 『…あ、ど、どうも』 しどろもどろになる俺を、彼はなんだか不思議そうな目でみてくる。 かろうじて、消しゴムを受け取るがその一瞬だけ触れた感触に俺はもうおかしくなってたのかもしれない。 天神竜矢が、うんとでもいうように軽く頷いてまた自分の席に戻ろうとしたその時、俺は思わず声をかけた。 『なあっ!…仲良くなろうや』 はあっ?とでもいうような相手のびびくりまくった顔にめげそうになったが後には引けない。 『いや、まあ、いい機会だし…あと、けっ…消しゴム拾ってくれたからなっ!学食でもおごる!』 相手はしばらく呆けたような顔していたけど、やがてゆっくり笑って頷いてくれる。 「……うん」 ……うわ……めちゃくちゃ可愛いい…… 普段、無愛想だから尚更笑うと可愛いいというかなんというか。 恥ずかしいのとなんか嬉しくなって俺は相手に拳を突きつけた。 『よ、よろしく』 「…よろしく」 俺より小さい拳が軽く俺の拳に当たった。 それからすぐに相手はそそくさと向こうへ行ってしまう。 俺もヤバいくらいドキドキしてる。 だけど、やっと話せた………。 俺はご機嫌でまた消しゴムを放り投げた
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