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あの日の彼女を調べてみた。
2―A、***
家族構成は両親と姉が一人。
成績は中の下。
何処にでも居そうな女子生徒。
…なのに、何でこんなに気になるんだろう。
「…気に入らない。」
雲雀は小さく息を吐いて立ち上がり、応接室を後にした。
まだ一般生徒の登校時間には早く、校内は静まり返っている。
雲雀はその静けさを楽しむかのように只無心に歩いていた。
小さな足音は静寂に飲み込まれていく。
…その無心がいけなかったのか、雲雀の足は昨日の彼女が眠っていた教室に向いていた。
(ホント、どうしたのさ僕は)
誰も居ないその教室は、柔らかい朝日が舞い込んで少し寂しく見える。
雲雀は本当に、本当に無意識に彼女の机の前まで歩いていた。
シャーペンで書いたのであろう小さな落書き。
最近騒がれている沢田、とか言う奴等の名前が刻まれていた。
…何故だろう、少しだけ鳩尾辺りが締め付けられた。
(机の中には)
(少しだけ皺になった写真)
(満面の笑みを浮かべた彼女が)
(名前を刻まれた奴と写っていた)
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