第5話

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「あの、お名前教えてもらえますか?」  いきなりのその問いに私は「へ?」と間抜けな返事をすると、「ファーストキスの相手の名前くらい、教えてもらえる権利、あるとおもいます」と続けた。 「え、えと・・・天道亜紀です・・・。」 「私は加賀美沙月です、よろしくね」  差し出された彼女の右手に、私は手汗を服で拭いた右手で答えた。 「それじゃ、すこし付き合ってくださいっ♪」 「えっ、ちょ!」  彼女は握手したその手を離さず、私を連れて歩き出す。「拒否権はないですよっ♪」と笑う彼女を見て、この子、小悪魔?とか思いつつ、引っ張られるままに彼女の後ろを歩き出したのだった。
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