第6話

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気づけば海を反射したような空の蒼は、水彩を思わせるような淡い橙色に染まっていた。  日が沈んだことにも気付かないほど歩き続けていたのかという驚きと、その程度で息が上がる若干の情けなさ。何をやっているんだ私は。  というのも、事の始まりは彼女の一言からだ。 「デートをしましょう」  あまりのことに私の弱いお頭はオーバーヒートをおこした。まともな言葉も形にできないまま、私は頭を縦に振ったのだと思う。  私の反応を見て苦笑していた彼女の表情が目に焼き付いて、記憶が曖昧になってしまっていた。  
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