01.君が愛しすぎるから

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手や口の周りは血塗れ 辺りは血の海 そんななか佇む少女が一人 こちらをゆっくりと向き、僕の名を呼ぶ 「ねぇ、空…」 『…何?青、』 青は最後の一人だったと思われる人物の頭らしきものを口から離し床に転がした 「これで世界は2人きりかしらン?」 そう言ってて僕に抱きついてきた青はあまりにも無邪気に笑っていた 『…そうだね、僕達だけだよ』 僕がそう言えば青は子供のようにはしゃいだ 「ね、空、大好きっ、これからも2人っきりねっ」 君があまりにも可憐に笑うものだから、こんな世界なんてどうでもよくなった 「私、いつか空とひとつになりたいわっ」 『僕もだよ』 勿論それは本心 だって青を愛しているんだから当たり前じゃないか 誰だって好きな相手とひとつになりたいと願うのは当然 ただ 僕らの切実な願いは人とは違い、本当の意味 「ん~、でも空が居なくなるのは嫌っ だから」 青は僕の首に腕を絡めて妖艶な笑みで僕に告げた 空が私を食べてね 確かにそう告げた 「嗚呼!!!!!この空と私を分ける皮膚が憎いわっ!!!」 『ん、君と溶けてしまいたい』 僕は青の腰に腕を絡ませ、キスをする すると青は擽ったそうに体をよじる そして嬉しそうにまた僕を下から見上げた 「ふふっ、私、もうすぐ、空の血肉となって駆け巡るのね」 楽しみだわとはしゃぐ もちろん僕もふいに笑みが零れる さあ、そろそろ食べてしまおうか 「美味しく食べてねっ」 『うん、さあひとつになろう』 そして残さず君を食べた お互いを分かつ皮膚が憎くくなる程愛していた、否、それだけでは足りない それ故にひとつになることを選んだ 愛しすぎて早くひとつになってしまいたいと願った だがその願いは違う方向に傾いてしまった 君は僕に食べられる事を望み 僕もまた君を食べる事を望んだ その結果は2人にはあまりにも至福すぎた 僕らは永遠という名の赤い糸を手に入れた もう、これで離れることは出来ない これからは本当にこの世界に2人っきりだ どれだけ至福な時になるだろうか もう二度とひとりになることはない (01.君を愛しすぎるから) †end†
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