あたし。

8/8
986人が本棚に入れています
本棚に追加
/560ページ
その時間は、あたしが「何もいらない」と思っていても「何も入ってこない」とは違う。 玄関のチャイムが鳴る事もあるし、携帯がデリカシーのない音楽を鳴らして響く事もある。 ゴミ収集の音楽が入ってくる事もある。 そんな風にあたしの「フワフワのケーキ」は見事に「硬いコンクリート」になってあたしを弾き返すんだ。 今日はまだいい。 あたしの携帯は甘いR&Bを流し始めた。 それでもやっぱり少し不機嫌になりながら携帯を手にとる。 液晶画面には知らない番号。 あたしはボーっと無意識に通話ボタンを押した…。 それが本当に「可哀想なあたし」の始まりだったのかもしれない。 あたしは自分をちっとも可哀想だなんて思わなかったけど。 でも人から言わせればあたしは「可哀想」。 もう一つは「自業自得」。 いつだってそれはあたし以外の人が決める「あたし」。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!