一人。二人。三人。

3/13
前へ
/560ページ
次へ
「もしもし。」 あたしが言い終わるか終わらないかぐらいでシンが話し出す。 「カオリ何してた?」シンとは2年くらいの付き合いになるけど、いつも電話をしてくる度に勢い良く話し出す。 「別に何も。」 あたしが答えるとシンは少し笑った。 「どうせボーっとしてたんだろ。飯食い行こうぜ。俺スロット勝ったから。」 あたしは自分の行動を読まれてた事に居心地の悪さを感じながら、夕暮れの空を見上げた。 空の色は綺麗なオレンジ色。 「マンゴープリンかぁ。」 あたしが答えにならない答えをすると、シンが更に笑いながら言う。 「今駅前だから、すぐ迎えに行くよ。」 あたしの返事を待たずに電話が切れたので、あたしはもう一度ベランダに戻った。 今度こそは、ゆっくりと煙草を吸う。
/560ページ

最初のコメントを投稿しよう!

986人が本棚に入れています
本棚に追加