129人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて、何処からお話しいたしましょうかね」
少女は家の中にある物を眺めてまわり、きょろきょろと見回していたが、興味が逸れたのかリビングのソファに座り込んだ。
「まず自己紹介。名前は?」
裕一はテーブルにお茶を置きつつ言う。
「私の名前はArtificial Human No.000 Type[metamorphose]」
「あーてぃ……?」
聞き慣れない自己紹介の仕方に疑問を抱きながらも少女の言葉を反芻する。
『私の名前はArtificial Human No.000 Type[metamorphose]』
Artificial。確か意味は人工の。とか言う意味だったなと裕一は頭の中で英語を日本語に変換しながら理解して行く。
「……は?」
そして全てが日本語訳できた瞬間に耳を疑った。
Artificial Human。
人造人間。
「あ~……すっごいびっくりしてるね~」
この暢気な少女が?
いやしかし、と再度思考の深みに嵌まりかけた裕一の耳に、
「私はね~13年前に造られた陸海空両用生物兵器なの」
爆弾が1つ。
「兵器!?」
「うーん……どこから説明すればいいかなぁ……」
生物兵器の少女は小動物の様に小首を傾げながら呟く。
その様はとても生物兵器には見えない。
しかし、先程の身体能力や撃たれても死なない体。
認めざるをえない。
「えっと、15年位前に第3次世界大戦あったのは知ってるよね?」
「あぁ、ロシアその他アジア連合軍と日本欧米連合軍の戦争だろ?」
「そーそー、じゃぁその戦争はどんな状況を経由して勝利したかな?」
「んー・・開戦当初は押していたが、ロシアの捨て身の抵抗に遭い、押される。しかし、発展した科学力を用いて新型兵器を開発。投入して勝利を収めた」
「そ~そ~なかなか勉強出来るみたいね」
少女は無垢な笑いで裕一を褒める。
やはり生物兵器には見えない。
「その新型兵器はどんなものって教えられた?」
少女は手を組み、肘をテーブルに乗せながら聞く。
「完全自動追尾式対戦闘機撃滅用ミサイルとか、半径1kmの酸素に反応して爆発を起こす酸素爆弾とか、そんな感じの」
裕一は日本史の教科書の内容を思い出しながら答える。
「う~ん……やっぱそうだよなぁ……」
少女はなにやら納得した表情で頷く。
「なにがだ?」
「その新型兵器ね、私なの」
最初のコメントを投稿しよう!