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―――。
裕一は疲れ切っていた。
何故なら。
ご飯~ご飯~と、食事を目の前にしてはしゃぎまくっている少女を宥め、無言でじっと自分を見つめる少女の視線に耐えながら食事を作り、わ~!と無邪気にはしゃぐ少女をまたも宥め、無言で黙々と食事をする少女におかわりは?と聞いたり、更には喜び勇んでなんか意味不明な踊りを始めようとする少女を火事場の馬鹿力みたいな筋力で押さえ付け、食事が終わった直後に軽く自己紹介の続きをしてから速攻で眠ろうとした少女を引き止め、風呂に入るように促し、風呂場に2人を押し込んで洗い物をしたりと、とにかくてんやわんやでとても(主にNo.000が)大変だったのである。
「ふう……なーんでこんなに疲れなきゃいけないんだ……」
うわっ冷た!これは私のチーズケーキ勝手に食べた恨み。とかいう会話が風呂場から聞こえてくるのを無視しながら裕一は呟いた。
「ってか(主にNo.000が)元気良過ぎ……」
始まってそうそう前途多難だ……とネガティブな思考に行っていた裕一は、はぁと溜め息をつくとソファに寝転んだ。
「大丈夫かなこれ……」
「裕一ー!!」
全然大丈夫ではなかった。
No.000が全裸で風呂場から出てきたのだ。
「~~~~!!」
裕一は頭を抱える。
本当に大丈夫なのか……?
頭の中はこれだけ。
「あれ?裕一なにしてんの?頭痛いの?」
No.000は心配そうな表情をして裕一に問い掛ける。
原因が自分であることには全く気付いていないようである。
「いや……なんでもない……」
こいつには恐らく何を言っても無駄だ。ともうなんか面倒臭くなって裕一は指摘することを放棄した。
「で、どうした? 風呂場の道具一式の使い方は教えただろ?」
「うん、お風呂に関しては特に問題なし、ノープロブレムであります」
問題があるのはお前の脳細胞だ、と言う言葉をぐっと堪え、別の言葉を搾り出す。
「じゃぁどうしたんだ?」
「えっとね~……裕一は私と001を番号で呼んでるじゃん?」
彼女にしては真面目な表情で言葉を紡ぐ。
「そうだな」
他に呼び名無いもんな。と付け加えて答える。
「うんうん、だからね、私達の名前を考えといて欲しいの
明日笠原のおっちゃんが来るみたいだし戸籍登録のお願いもするからさ」
政府要人におっちゃんはないだろおっちゃんは。
「……分かった考えとく」
裕一は軽く思案して答えた。
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