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現在時刻。
日本標準時間23時18分。
井上裕一は今だかつてない危機に晒されていた。
「Wait!」
「Hold up!!」
ただいま、裕一は小柄な少女と2人で国家機関から逃走中。
因みに2人の後ろには十数人程の黒いバトルスーツに身を包み、ハンドガンやライフル、サブマシンガンと武装に武装を重ねた集団が。
しかも、敵意丸出しで。
裕一は頭を抱えながらも少女の脇に抱えられ、夜の街を迷走している。
何故この様事態になったか、15分程時間を遡ってみる。
日本標準時刻23時03分。
「じゃぁな!」
「おう!」
「また明日な!」
カラオケ店から出てきた裕一その他友人達は夜も遅いということで解散し、各々自分の家の方向に去っていった。
裕一も例外ではなく帰宅するために自宅の方へ足を進めた。
しばらく人通りの少なくなったビル街を歩き、交差点に差し掛からんとしたとき。
「ちょっとそこのいてぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」
降ってきた。
少女と言う名の非日常が。
降ってきた非日常(少女)はベコォッ!という金属が凹む凄まじい音と共に、道端に止めてあった乗用車のボンネットに着地した。
その降ってきた非日常(少女)は平然と立ち上がると、裕一を見た瞬間に一瞬で裕一との距離を詰めると思いきり突き飛ばした。
いきなり突き飛ばされた裕一が何なんだこいつ。と怒りを抱いた刹那、
凄まじい爆音を立てて、車が爆発した。
「あわわわわわわわわわわ!」
非日常(少女)は爆風や破片の圏内に居たが、地を蹴り、一瞬で圏内から外れてしまう。
裕一が炎上する車を唖然として眺めていると、少女が近寄って来て、
「大丈夫?」
と言いながら手を差し延べてきた。
裕一はふと我にかえると―
「のわっ!」
鼻がぶつかる程近くに少女の顔があった。
裕一はズザザッと普段は使わない瞬発力を発揮し50cm程距離をとる。
少女は不思議そうに首を傾げながらも、再度聞いてくる。
「大丈夫? 怪我はない?」
「あ・・あぁ」
裕一はテンパりながらもなんとか言葉を絞り出す。
「そっかそっか良かった良かった」
少女はうんうんと頷きながら言う。
裕一は眼前の不思議な少女をゆっくりと見直す。
小柄ながらしなやかな体躯、雪の様に白い肌。
青い長髪に黒い瞳。
整った顔立ちは表情が緩められ、何だか間の抜けた雰囲気を醸し出している。
そして服装は……全裸だった。
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