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「さてどうしたもん―」
「おぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
裕一は少女の言葉を遮って叫ぶ。
「え? 何? どうしたの?」
少女はきょとんとして裕一を見る。
「服を着ろぉぉぉぉぉ!!」
裕一の渾身の叫びに少女は、
「あぁ、服?
そんなの持ってないよ?」
爆弾発言を1つ落とした。
あぁ、この人、変な人なんだ。
裕一は呆れた表情をして溜め息をつく。
「あはは! 私培養機割って脱走してきたから」
「はいはいそうですか」
裕一は手をひらひらと振りながら答える。
ん?
「培養機?」
裕一は引っ掛かった単語をオウム返しの様に聞き返す。
「あ~……」
少女は若干焦った様に目を泳がせると、
「ん~……巻き込んじゃったみたいだし、後でちゃんと説明するよ」
「巻き込んだ?」
「うん、ごめんね
そろそろ来るよ?」
「来るって―」
裕一が言いかけたその時、
「Hold up!!!」
背後から流暢な英語が。
振り返ってみると
十数人程の黒いバトルスーツに身を包んだ武装集団。
「ほら来た」
「ほら来たじゃねえぇぇぇぇぇえええええええ!!!」
裕一は絶叫しながら少女の頭を叩く。
「よりによってSAM(特殊武装部隊 Special ArmamentMilitary unit)かよ!!
おまえ何した!?」
「えーと……軍の研究所から脱走?」
「そりゃ追ってくるわ!!」
裕一は再度少女の頭を叩く。
「う~痛いなぁ……」
少女は叩かれた部位を摩りながら言う。
「しるか! ……で、SAMの皆さんをどうする?丸腰の一般高校生は瞬殺されるような武装してるけども」
「う~ん…私は撃たれても大丈夫だけど君は駄目だよねぇ」
「当たり前だお前みたく空から降ってくるような奇天烈人間ではないことを自負している」
「あれはビルの屋上から飛び降りたんだよ」
「うん、十分奇天烈だ安心したまえ」
「うわっなんか凄い馬鹿にされた感がするんだけど……まぁいいか」
少女はこきりと首を鳴らす。
「君守りながら戦る相手じゃないし……逃げるよ。」
少女は素早く裕一の懐に潜り込むと、裕一を脇に抱え駆け出した。
「Wait!!」
「Well...Fire!!」
なんか発砲号令がかかり無数の弾丸が放たれる。
少女はそれを軽いステップでかわしながら夜道を駆ける。
かくして夜中の逃走劇は始まった。
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