さよならの変わりに…

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『そろそろ、出発しないとね。』 彼女の黒髪を、風は名残惜しそうに撫でる。 彼女は俺の手の届かない所へ行く。 止めたいけど、そんなことできない事は分かりきっていた。 ずっと、夢見ていた地へ留学するのだから… 『私、飛行機の乗るの、初めてだからうれしい!』 「そーかぃ。まぁ、精々迷子にならないように。」 『トシ、いっぺん逝くか??』 遥佳の頭をわしわしと撫でる。 こんなにも、ちっこいのに。考えてる事は俺以上だと思った。 (あ、同じ年か。) 「とりあえず、頑張れ。」 『うん。私が帰って来るまで、浮気しちゃだめよ!』 「んじゃぁ、帰って来たら、浮気してもいいのか。」 『!!トシの浮気者ォォォォ!!!』 可愛いから、ついからかっちまう。 だから、機嫌悪くなった彼女を後ろから抱き締める。 「…嘘に決まってんだろ。」 『………本当???』 「あたりめぇだろ。俺にはお前以外見えちゃいねぇよ。」 さよならの変わりに… (誓いのキスを捧げよう。)
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