始まりはいつだって唐突なんだよ

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下に降り、居間に向かうとそこには真っ白な湯気をたてて大きく盛られた白いご飯がありその隣で同じく湯気を立てて待ち構えてる味噌汁 そして後方に待ち構えるのは皮がこんがりと焼け逆立った皮の向こうからのぞく身がとても食欲を誘われる焼魚 しかしそれだけの彩をもっても決してその存在を忘れさせない、むしろその存在こそが定石である漬物 見事な朝食だ、俺はそれを考えてたために絶句した 「母さん・・・・俺はとても朝食というものを結構楽しみにしてる人間なのだが・・・」 「なに言ってるの、あなたが遅いから食べてる時間がないでしょうに。それはせめて時間がない息子に対する母なりの優しさよ」 そう言って母さんは背を向けあわただしそうに作業を再開していた 俺はそんな背を忌わしく剣呑に後悔の眼差しを送って仕方なく皿に置いてある焼いてもいない食パンに手を伸ばした 焼いていないパンとはまた異常なしつこさを見せる 口の中の水分を吸ってノドを通らなかったり 歯にくっ付いてとるのに少々時間がかかったりと いろいろ苦労する 「あら、お水でもいったかしら?」 「ふぁ・・・・ふぁぁゆふほほはふぁふぃ・・・・・」 「まぁ、うちの子は朝からどこと交信してるのかしら」
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