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空は沈んだように暗く、地上に闇をもたらしている
そんな中でも目の前に映る綺麗な黒髪は、艶やかな光を放って釘付けにする
この子どもたちから忘れられた公園にたたずむのは、僕と由香里だけ…
ここに呼び出した由香里はただうつむき、何も言わずにベンチに座っている
沈黙に耐えきれずに口を開く
「な、なんだよ?黙ったままで…」
何を問い掛けても黙っている
ただ、膝に置かれた手が強く握られていて僕を不安にさせる
「何もないなら帰…」
「あのねっ…」
僕の言葉を由香里がさえぎった
その声は、いままで聞いたことがないくらいに痛々しく、いまにも壊れそうだった
「あのね…」
由香里は大きく息をついて言葉を紡ぐ
「私たち…別れよう…」
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