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私は安心していた。
自分は
助けてもらった
というのに
何の恩返しもせずに
その死を
ラッキーだと
思っているのだ。
『…最低だね。』
最低だよ。
本当に…。
『途中で
逃げるコトも
出来た。
なのに奴は
そうしなかった。
つまりソイツは
お前を認めて
いたんだよ。』
『…え?』
倒れて
もう動かない
魔獣の前に
しゃがみ込んだ
状態で、
顔だけ隣に立つ
アズへと向けた。
『魔力のない奴が
運よく召喚出来ても、
その拘束率は
極めて低い。
命令を受けても
従わない奴が
現れるのは
よくあるコトなんだ。
けれど
コイツは
お前の命令に
従った。
そして最後まで
戦った。
お前を助ける為にだ。』
…私を助ける為?
『……………』
私は再び魔獣へと
顔を向け、
白いフワフワとした毛を
優しく撫でた。
『…ありがとう。』
私の目から
透明な粒が
流れていた。
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