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『蓮さん……』
呟く俺に蓮さんは後ろ姿のまま顔だけを横に向け、
「才能は、時として足枷になる……とだけ言っておこうか、俺は修也程人が出来ていないんでね?サービスさ」
鼻を鳴らす様に軽く微笑み部屋を出て行った蓮さん、一つのヒントと、意味深な言葉を残して。
『あし……かせ?才能が、俺を邪魔するって事?』
――どう言う事だろうか。才能によって妬まれる事?
――そうか、そう言う事か!確かにそう言う意味では足枷になるな
蓮さんのおかげで修也さんの言葉の謎も解けた、これだから蓮さんには憧れるよホント!
―…タバコに火を点け、輪を作って弄ぶ遊人。
――けど、修也さん程人が出来てないってどういう意味だ?まぁ、謙遜してるだけか?
『そういう所もカッコイイよな……フフッ』
――とにかく、妬みに負けない様に心を強く持てって事だろ?俺には俺を応援してくれる仲間もいる
だからもう大丈夫、俺は壁を乗り越えられる筈。
気分の良くなった俺は殆どタバコを吸わず消し、マネージャーに頼み、蓮さんのテーブルのヘルプに行かせてくれと半ば強引に頼み席に着いた。
いきなり押しかけた俺に蓮さんは初め何だ?という顔をしていたが、
「くつろぐと良い」
そう言って何だか高そうな赤ワインを注いでくれた。
『頂きっす!うわ!!木の味する!!』
「……せめて、樽と言ってくれないか?」
『ははっ、それです!』
―…蓮のヒントに対して遊人の解釈は間違っていた。
―…この間違いもまた遊人を狂わせる。
―…一つずつ掛け違えていくボタン
―…狂い出す歯車
―…そこに忍び寄る影は……
―…すぐそこに居る
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