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――俺……学歴なんてねぇし、麻理と結婚して何をすりゃいいんだろ
ホストは生涯出来る仕事じゃないし……
――今そんな事考えても仕方ないか!仕事仕事!!
ホストで稼いでなんかすりゃぁいい。
陸さんの結婚相手はやはり客らしく、風俗の子だと言う。
風俗、この仕事をしている彼女でいいのかと聞いてしまった。
「風俗を一番気にしているのは俺じゃなく彼女、それを理解出来るからこそ結婚するんだ!」
「女は男の職や経済で相手を選んでもいい、けど男は女を職や顔で選んじゃいけない、心で選ばないと」
植木に水をあげながらそう話す陸さんの顔は、未来の夢見る光で輝いていた。
――ふーん、まっ、人それぞれだしいっか!
そう思いながらも結婚は素晴らしい事、俺は素直に笑顔で祝福した。
『そっすか、幸せんなって下さいね!』
間もなくして開店、今月number入りを果たした御蔭か、新規フリーの獲得も増えた。
「へぇ、No.3は遊人って子かぁ、指名してみよっかなぁ!」
客の中には役職やnumberにいる『ブランド思考』な奴も多い。
『失礼します、神童遊人です、初めまして』
「どもー!まぁ座って?」
口元を少し広げ丁寧に挨拶をする俺に対し、軽い口調で品定めする若い客。
ただ見栄が欲しいのか、役職や人気にただ惹かれるだけなのか。
中には地位や実力があるから自然とそうなるって事もあるが。
「遊人、2卓バックして」
『了解』
マネージャーが耳元で声を掛ける、とにかく忙しい毎日を過ごし、俺は輝きを増す日々を送った。
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