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お互い、きっかけが掴めずこのテーブルで2人が会話をする事は結局一度もなかった。
きっかけがあればきっと前みたいにまた仲良くなれる、俺は心の何処かでそれを理解してはいるし、銀もそう思っているのかも知れない。
―…結局『きっかけ』のせいにして動かない二人。
―…『きっかけ』を探さない遊人と……
―…『きっかけ』を探したい銀……
―…思いだけで動かない二人は、そのまま今夜も店を終えた。
――…
『んー、わかんねぇ……』
俺は今悩んでいる。銀の事、じゃなく麻理に買ってあげようと思っている財布について。
一旦セレクトショップを出て本屋へ行き、女もんの雑誌を広げてペラペラめくる。
――鞄に似合うコーデ……
見れば見るだけわからなくなる……
――おっ、このモデル可愛いな!!この子もいいな……
気付けばモデルばかり見てるし……
――よし、決めた!!
俺は本屋で読者モデルを堪能して携帯でメールを打ち車に戻る。
信号待ちをしていると前に見覚えのある姿が。
『……モカ?』
その隣には俺が殴ったホストの姿……ではなく友達だろうか、モカと同じ様な格好をした女と楽しそうに何かの会話をしながら歩いている。
『……まぁ、元気そうで何より‥‥』
信号が青になり、何ともスッキリしない気持ちになりつつ車を走らせた。
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