1421人が本棚に入れています
本棚に追加
頬を摩りながら客を見送り、そのまま外で考える。
――今までこんな事……か
その言葉を受け、つい最近まで抱いていた不信感を思い出した。
でも、同じくして最近出来た仲間を信じたい、いや、仲間だと信じたい気持ちが俺の思考を狂わせる。
――わかってるよ、何かがおかしいなんて事位……
けど、それは果たしてヘルプの意思か?
本当は黒幕がいて、そいつ一人の為にそうさせられてるだけじゃないのか?
もしそうなら、俺は奴等を恨めないんじゃないのか?
全ては推測の域を越えられない、出来るなら越える事なくただの思い過ごしであって欲しい。
俺は弱気になってる、それは弱気じゃなくて願いになったと言った方が正確なのかも知れない。
一人はやっぱり辛いし仕事のサポートもなけりゃ売り上げなんて上がらない、何よりつまらないだろ?
『……つーか、キスされたし…』
出せない答えに考える事を止め、頬を触りながら店に戻り片付けた後、待機室へと入った。
――デート……何処へ?車は?
タバコを吹かしながら意味もなく携帯をいじる。
――入店してからアフターなんて早紀としたっきり誰ともしてねぇもんなぁ
これから先、客を繋ぐには必要になってくる、それはずっと思ってた事。
けど、今日麻理に不安を告げられたばかりで気が引ける。
軽く呻きながら髪をぐしゃぐしゃっとして天を仰ぎ、直ぐに向き直って髪を元に戻した。
『はぁ……どうしよ』
鼻に付けた青いピアスを触りながら溜め息を吐いてタバコの煙を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!